こんにちは。kalingonです。
ダウ理論という言葉は、初心者を脱したみなさんなら聞いたことぐらいはまずあると思います。でも、なんだか難しそうな感じがするから今まで敬遠してきたという方も多いのではないでしょうか。
ダウ理論とはwikipediaによりますと、チャールズ・ヘンリー・ダウ(Charles Henry Dow, 1851年11月6日 - 1902年12月4日)という、アメリカ合衆国のジャーナリスト・証券アナリストが19世紀に提唱した市場での値動きを評価するための理論です。
しかし、内容的にはさほど難しい、特殊なことを言っているわけではありません。むしろ相場の値動きの本質を表現したともいうべきもので、値動きを理解するための基本中の基本の概念だと私は思います。
100年以上前に提唱された理論であるにもかかわらずいまだに多くのトレーダーに支持され、ようやく初心者を脱したレベルのトレーダーの耳にもたいがい入ってくるということは、それだけ普遍性が高い理論であることの証明だと思います。
実際、継続的に勝っておられるトレーダーではこの理論をベースにして相場の環境認識をされておられる方が非常に多いです。
それではダウ理論について具体的に見ていきましょう。
ダウ理論の内容
ダウ理論にはいくつかの項目があるのですが、よく使い覚えるべきものはひとつだけです。
「トレンドは明確なシグナルが出るまで継続する」
というものです。
「え? それだけ?」って感じだと思いますが、このことを前回の投稿で書きました「トレンドとレンジの定義」と合わせて考えてみましょう。
トレンドの定義は「安値高値を切り上げ(切り下げ)ていること」でしたよね? ということは高値と安値のどちらか一方でも切り上げ(切り下げ)なくなった時点でトレンドではなくなるわけです。
下図のCではBで安値切り上げ、Aの高値も上抜けたのでアップトレンド確定となりました。がその後DでCの高値を切り上げずに下落しそうになりました。しかしここではまだこの後上昇してCの高値を切り上げる可能性がある(Eのように)ことは前回お話した通りです。
しかし、その後さらに下落してBの安値を割り込んでFまで来たとしたらどうしょう。これはBの安値を切り下げることが確定してしまいます。したがってこの時点でアップトレンドが終了確定となるわけです。
このFまでの形をよく見てください。CでAの高値を切り上げたけどその後Bの安値も切り下げた。そうです、前に出てきたノントレンド相場ですね。
最後の押し安値
でもここで「あれ?」と思われた方はなかなか鋭いですね。下図を見てください。
C-G-H-Iという流れを見てみるとここでもちゃんと高値切り下げ(C-H)、安値切り下げ(G-I)ができているとも言えるわけです。ということはIの時点で下降トレンド確定じゃないのか、という疑問がわいてきます。
これに関してはそのように考えるトレーダーもたしかにおられますので必ずしも間違っているとは言えないのですが、一般的にはBの安値を割り込んだ時点で下降トレンドが終了してノントレンドになったと考えます。なぜなら、Bの安値はAの高値を切り上げたCの高値の起点となった安値なので重要だと考えられます。それに対してGの安値はHでCの高値を切り上げられなかったのであまり重要ではないと考えます。
つまり、最後に高値を切り上げたときの安値(B)を割り込んだらトレンド終了と見るわけです。この最後に高値を切り上げたときの安値のことを「真実の安値」とか「ラスト押し安値」とか、単に「押し安値」とか様々な呼び方で呼ばれますが、いずれにしても大変重要視される安値です。
また下降トレンドの終了も同じことです。下図の青丸の時点でダウントレンド終了となります。またこの時点で上昇トレンドが発生しているとするかどうかはトレーダーによって、また状況によって違ってきます。
値動きの本質
相場の値動きは買い手と売り手の攻防の結果として成立します。買い手が強いと値は上昇し売り手が強いと値は下がります。売りと買いの強さの差が値動きとなって波形を描いているに過ぎないのです。当たり前ですが相場の値動きの本質はそれでありダウ理論はその本質を言い表しています。だからこそ100年以上にわたり注目され、多くのトレーダーがその考え方を使っているのです。
ダウ理論は売りと買いの強弱を見るので、トレードするにおいて売りか買いかの目線を決めるときによく使われます。次回はそのあたりを実際のチャートを使って見ていきたいと思います。